古いセラミックおよび齲蝕をオールセラミッククラウンで治療をした症例

BEFORE

古いセラミックおよび齲蝕をオールセラミッククラウンで治療をした症例BEFORE

AFTER

古いセラミックおよび齲蝕をオールセラミッククラウンで治療をした症例BEFORE

治療情報

症状
奥歯を主訴としてご来院。奥歯の治療が完了後に前歯部の治療へ移行しました。

前歯に症状はありませんが、それなりの大きさの虫歯がありました。
また、既存のセラミックの内部にも齲蝕があり、不十分な根管治療を認めました。

こういった細かいことを気を付けなければセラミック治療を行ってものちのち根本が変色したり、歯を支える骨が溶けて歯を抜くことになってしまうことがあります。
治療方法
歯の中の虫歯を徹底的に除去し、根管治療が不十分だったため精密根管治療にて根管内部の洗浄を行いました。

その後オールセラミッククラウン(ジルコニアレイヤリングクラウン)にて上顎前歯4本の治療を行いました。
費用
オールセラミッククラウン   165,000×4
プロビジョナルレストレーション 8,000×4
コア除去            10,000×1
ファイバーコア単根       15,000×3
前歯部根管治療         88,000×2
再根管治療加算     22,000×2
         
備考
今回はセラミックを行わず、ダイレクトボンディングのみで治療を完了させるコストを抑えた方法も提案いたしました。

しかし、古くなったセラミックのやり替えや虫歯治療などを別々のタイミングで行うと形や色がそろいにくく結局いつまでも前歯が不揃いな仕上がりのままになります。

このタイミングですべて治療をして、虫歯の不安や見た目の悪さの改善をきちんと行いたいという事で前歯4本の治療を行いました。

患者様情報

年代
40代
性別
男性

治療方法

古いセラミックおよび齲蝕をオールセラミッククラウンで治療をした症例治療方法01
上顎前歯部の色の不揃いを認めますが、患者様からすれば症状もなく大きな問題があるようには見えないかもしれません。
古いセラミックおよび齲蝕をオールセラミッククラウンで治療をした症例治療方法02
向かって左側の2本のセラミッククラウンの下に黒いスジが見えます。
メタルボンドというクラウンを用いるとこのように見えることがあります。
また、メタルを使用しないオールセラミックでも適合が悪ければこのように黒く見えることがあります。

向かって右側の歯は、ところどころ黒く見える箇所があります。
その黒い箇所は中に虫歯が存在していました。
古いセラミックおよび齲蝕をオールセラミッククラウンで治療をした症例治療方法03
古いコンポジットレジンを除去すると、中にそれなりの大きさの齲蝕を認めました。

ラバーダム防湿を行いながら丁寧に齲蝕の除去を行います。
古いセラミックおよび齲蝕をオールセラミッククラウンで治療をした症例治療方法04
保険診療によるコンポジットレジン充填は高確率でこのような状態になっています。
ここまでひどい状態でも痛みが全くないというのが怖いところですね。

痛くなる頃にご来院された場合、歯髄(歯の神経)を残せる可能性は低くなります。

古いセラミックおよび齲蝕をオールセラミッククラウンで治療をした症例治療方法05
仮回復の状態
古いセラミックおよび齲蝕をオールセラミッククラウンで治療をした症例治療方法06
今度はメタルボンドセラミッククラウンの除去を行います。
古いセラミックおよび齲蝕をオールセラミッククラウンで治療をした症例治療方法07
ラバーダム防湿を行っているところ
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クラウンを外し表面だけを観察しても一見大きな問題ないように見えますが、
内部を確認すると気泡や齲蝕を認めました。
古いセラミックおよび齲蝕をオールセラミッククラウンで治療をした症例治療方法09
これらを見ず、クラウンのみやり替えを行うと中で齲蝕が進行することが考えられます。

せっかくクラウンをやり替えるのであれば内部は徹底的に洗浄を行うべきと私は考えます。
古いセラミックおよび齲蝕をオールセラミッククラウンで治療をした症例治療方法10
銀色のポストコアは審美性に悪影響を及ぼす場合もありますし、内部確認という意味でも当院では毎回除去しております。
古いセラミックおよび齲蝕をオールセラミッククラウンで治療をした症例治療方法11
ポストコアの除去
古いセラミックおよび齲蝕をオールセラミッククラウンで治療をした症例治療方法12
やはり内部は汚染されていました。

症状がなく大丈夫そうに見えても中ではこんなことに…
古いセラミックおよび齲蝕をオールセラミッククラウンで治療をした症例治療方法13
汚染されたガッタパーチャポイントを除去します。
古いセラミックおよび齲蝕をオールセラミッククラウンで治療をした症例治療方法14
再根管治療が完了し、レジン&ファイバーコアを施術しました。
古いセラミックおよび齲蝕をオールセラミッククラウンで治療をした症例治療方法15
隣の犬歯にも小さな齲蝕があったため治療を行いました。
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荒形成が完了した状態。

中身の徹底的な洗浄ができ、強度のあるコア築造もできました。
また、審美的な要件においても有利な状態になりました。
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オールセラミッククラウンを4本装着した状態

「天然の歯よりもやや白くしたい」という要望にお応えできるように色のセッティングを行いました。

「もっと白く」することも、「さらに馴染むよう」にすることも可能です。
色や形は何度も話し合いをさせていただきました。
古いセラミックおよび齲蝕をオールセラミッククラウンで治療をした症例治療方法18
自然ながらも美しさを兼ね備えた形状、色調になりました。

歯肉の状態を健康に保つためにも非常に高い適合性を確保しております。

このようなセラミック治療を行うには技工士の方の腕はもちろんのこと、我々歯科医師も繊細な治療を行える技術が必要です。
古いセラミックおよび齲蝕をオールセラミッククラウンで治療をした症例治療方法19
Before と After の比較

見た目の印象が全く異なります。患者様には大変満足していただけました。

また、見た目だけではなく中身も長期にわたり問題がないように洗浄&強化ができました。一生こちらの歯を使っていただきたいという思いの詰まったセラミックです。